「あれ、今日トイレに行った?」愛猫のおしっこ回数が少ないのは病気のサインかも
「猫トイレのおしっこの塊が、いつもより少ない気がする…」 「そういえば、愛猫がトイレに入っている姿をあまり見ていないかも…」
毎日の愛猫のお世話の中で、ふとこんな変化に気づいたことはありませんか?言葉を話せない猫にとって、おしっこの回数や状態は健康を伝える重要なサインです。その小さな変化は、時に重大な病気の初期症状である可能性を秘めています。
特に「猫のおしっこの回数が少ない」という状態は、飼い主さんが注意深く観察すべき変化です。猫はもともと砂漠地帯で暮らしていたため、少ない水分でも生きられるよう尿を濃縮する能力に長けています。しかし、その優れた身体の仕組みが、裏を返せば腎臓や膀胱といった泌尿器系に負担をかけ、病気を発症しやすい原因にもなっているのです。
健康な成猫のおしっこの回数は1日に2〜3回が目安ですが、飲水量や食事内容、年齢、季節によって変動します。大切なのは平均値と比べること以上に、「うちの子のいつもの回数」を把握し、「普段との違い」に気づくことです。
おしっこの回数が少ない場合、単なる水分不足のこともありますが、「膀胱炎」や「尿石症」といった病気が隠れていることも少なくありません。特に、尿道が結石などで完全に詰まる「尿道閉塞」は、おしっこが全く出せなくなり、わずか1〜2日で命に関わる極めて危険な状態です。
この記事では、猫のおしっこの回数が少ないときに疑うべき病気と、自宅でできるチェックポイントを獣医師監修のもとで詳しく解説します。愛猫の小さな変化を見逃さず、健康で長生きしてもらうために、正しい知識を身につけましょう。
まずは正常値を知ろう!猫の健康な「おしっこ」の回数・量・色の目安
愛猫のおしっこの異常に気づくためには、まず「健康な状態」の基準を知っておくことがとても大切です。ここでは、健康な猫のおしっこの目安と、病気以外の原因について解説します。
健康な猫のおしっコの目安【回数・量・色】
日頃から以下の3つのポイントをチェックする習慣をつけ、愛猫の「いつも」の状態を把握しておきましょう。
回数:1日に2〜4回が平均
健康な成猫のおしっこの回数は、1日に2〜4回程度が一般的です。ただし、子猫は代謝が活発なため回数が多く、シニア猫は活動量の低下などから回数が少なくなる傾向があります。平均値よりも「その子の普段の回数」を基準に、急に減ったり丸一日していなかったりしないかを確認することが重要です。
量:体重1kgあたり20〜40mlが目安
1日のおしっこの総量は、体重1kgあたり20〜40ml程度が正常範囲です。毎回正確に測ることは難しいですが、トイレの砂の固まり具合やペットシーツの濡れ方で、おおよその量を把握できます。
- 固まる猫砂の場合: いつものおしっこの塊の大きさと比べて、明らかに小さい、少量しかできていない場合は注意が必要です。
- システムトイレの場合: ペットシーツの濡れている範囲を確認します。いつもより濡れている範囲が狭い場合は、おしっこの量が減っている可能性があります。
色:薄い黄色(麦わら色)が理想
健康な猫のおしっこの色は、**透明感のある薄い黄色(麦わら色)**です。
- 無色透明に近い: 水分の摂りすぎ、または腎機能の低下で尿を濃縮できていない可能性(慢性腎臓病など)が考えられます。
- 濃い黄色〜オレンジ色: 脱水気味で尿が濃くなっているサインです。飲水量が足りているか確認しましょう。
- 赤色、ピンク色、茶色: 血が混じっている(血尿)可能性が高く、膀胱炎や尿石症などの疑いがあります。
- キラキラ光るものが見える: 尿石症の原因となる結晶が混じっている可能性があります。

病気だけじゃない!おしっこの回数が少なくなる原因
おしっこの回数が少ないからといって、必ずしも病気とは限りません。生活環境が原因となっているケースも多いため、以下の点に心当たりがないかチェックしてみましょう。
1. 飲水量の減少
体に入る水分が減れば、おしっこの量も減ります。特に冬場は喉の渇きを感じにくく、飲水量が減りがちです。水が古かったり器が汚れていたりすると、きれい好きな猫は飲むのを嫌がることがあります。ウェットフードからドライフードに切り替えた際も、食事から摂る水分が減るため注意が必要です。
2. トイレ環境への不満
猫は非常にデリケートなため、トイレ環境に不満があると排泄を我慢してしまうことがあります。
- トイレの汚れ: トイレが汚れていると、きれいになるまで我慢することがあります。最低でも1日1〜2回は掃除しましょう。
- 場所や大きさ: 人の出入りが激しい場所や、体のサイズに合わない小さなトイレはストレスの原因になります。静かな場所に、体の1.5倍以上の大きさのトイレを設置するのが理想です。
- 猫砂の種類: 急に猫砂を変えると、感触を嫌がって使わなくなることがあります。
- トイレの数: 多頭飼いの場合は「猫の頭数+1個」のトイレを用意するのが理想です。
3. ストレス
引っ越しや模様替え、新しい家族が増えたなど、環境の変化は猫にとって大きなストレスです。強いストレスを感じると、物陰に隠れておしっこを我慢してしまうことがあります。
これらの原因は、飼い主さんの工夫で改善できる可能性があります。病気を疑う前に、まずは愛猫が安心して過ごせる環境かを見直してみてください。
猫のおしっこが少ない時に疑うべき5つの病気と見分け方
生活環境を見直しても猫のおしっこの回数が少ない状態が続く、あるいは他の症状が見られる場合は、病気が潜んでいるかもしれません。ここでは、特に注意すべき5つの病気を緊急性の高い順に解説します。
1.【最重要・緊急】尿路閉塞
最も緊急性が高く、命の危険がある状態です。尿道に結石などが詰まり、おしっこが物理的に排出できなくなります。特に尿道が細長いオス猫に起こりやすい傾向があります。
主な症状
- 何度もトイレに行くが、おしっこが全く出ない、またはポタポタとしか出ない
- 排尿時に苦しそうに鳴き声をあげる
- 落ち着きなくウロウロする、トイレにこもる
- お腹を触られるのを嫌がる
- 進行すると、嘔吐や食欲不振、ぐったりして動かなくなる
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見分け方のポイント 「排尿ポーズをとるのに、おしっこが出ていない」のが最大の特徴です。24時間以上排尿がないと、急性腎障害や尿毒症を引き起こし命に関わります。少しでも疑わしい場合は、様子を見ずに**すぐに動物病院を受診してください。**夜間や休日でも救急病院に連絡すべき緊急事態です。
2. 膀胱炎
猫の泌尿器トラブルで非常に多い病気です。細菌感染、ストレス、尿石などが原因で膀胱に炎症が起こります。原因が特定できない「特発性膀胱炎」は、ストレスが引き金になることが多いとされています。
主な症状
- 頻尿(何度もトイレに行くが、1回の量は少ない)
- 血尿(ピンク色や赤色のおしっこ)
- 排尿時に痛そうにする
- トイレ以外の場所で粗相をする
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見分け方のポイント 一般的には頻尿になりますが、排尿時の痛みを避けるためにトイレを我慢し、結果的に飼い主からは「回数が少ない」と見えることがあります。血尿や粗相は膀胱炎の分かりやすいサインです。

3. 尿石症(尿路結石症)
尿中のミネラル成分が結晶化し、膀胱や尿道に石(結石)ができてしまう病気です。この結石が尿道を塞ぐと、前述の尿路閉塞を引き起こします。
主な症状
- 膀胱炎と似た症状(頻尿、血尿、排尿痛)
- おしっこがキラキラして見えることがある(尿結晶)
- 陰部を気にして頻繁に舐める
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見分け方のポイント 症状が膀胱炎と酷似しているため、見た目での判断は困難です。動物病院での尿検査やエコー検査で診断されます。何度も膀胱炎を繰り返す場合は、尿石症が隠れている可能性があります。
4. 腎臓病(慢性腎臓病)
加齢とともに腎臓の機能が徐々に低下する病気で、特に7歳以上の高齢猫に多く見られます。
主な症状
- 初期: 多飲多尿(水をたくさん飲み、おしっコの量や回数が増える)
- 末期: 腎機能が著しく低下し、尿をほとんど作れなくなるため、おしっこの量や回数が激減する
- 食欲不振、体重減少、嘔吐、毛づやの悪化
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見分け方のポイント 「以前はたくさんおしっこをしていたのに、最近急に減った」という変化が重要なサインです。病気の初期段階である多飲多尿を見逃さないことが、早期発見につながります。
5. 急性腎障害
中毒物質の摂取や重度の脱水などにより、数時間から数日の間に急激に腎機能が悪化する、非常に危険な状態です。
主な症状
- おしっこが急に減る、または全く出なくなる
- 急激な元気・食欲の消失
- 短時間でぐったりする
- 頻繁な嘔吐
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見分け方のポイント 慢性腎臓病と異なり、症状の進行が非常に速いのが特徴です。「昨日まで元気だったのに、急にぐったりしている」といった場合は、急性腎障害を疑い、直ちに動物病院を受診する必要があります。
病院へ行く前に!飼い主ができるおしっこチェックリストと日常の予防ケア
愛猫の様子がいつもと違うと感じたとき、病院を受診する前に自宅で確認できるチェックリストと、病気を防ぐための日常ケアを紹介します。
愛猫のサインを見逃さない!おしっこチェックリスト
日々のトイレ掃除の際に、以下の5つのポイントを確認する習慣をつけましょう。
1. 回数
- チェックポイント: 24時間以上おしっこをしていないか?何度もトイレに行くのに、少ししか出ていない(頻尿)状態ではないか?
2. 量
- チェックポイント: ペットシーツの濡れている範囲や猫砂の塊が、いつもより極端に小さくないか?
3. 色
- チェックポイント: 赤色・ピンク色(血尿)ではないか?濃い黄色やオレンジ色(脱水)ではないか?キラキラ光るものは混ざっていないか?
4. ニオイ
- チェックポイント: ツンと鼻を刺すような強いアンモニア臭など、いつもと違うニオイがしないか?
5. 排尿時の様子
- チェックポイント: 排尿時に苦しそうに鳴いていないか?お腹に力を入れていきんでいないか?トイレ以外の場所で粗相をしていないか?
これらの項目に一つでも当てはまる異常があれば、様子見をせず動物病院を受診しましょう。
病気を未然に防ぐ!今日からできる日常の予防ケア
おしっこのトラブルは、日頃のケアでリスクを下げることができます。特に「水分補給」と「トイレ環境」が重要です。

① 飲水量を増やして、おしっこのトラブルを予防
水分摂取量が少ないと尿が濃くなり、尿石症や腎臓病のリスクが高まります。自然に飲めるよう環境を整えましょう。
- 水飲み場を増やす: 猫がよく通る静かな場所に複数(最低2箇所以上)設置します。
- 器を工夫する: ヒゲが当たりにくい広口で浅めの陶器やガラス製がおすすめです。
- 常に新鮮な水を用意する: 1日に最低2回は水を交換し、清潔に保ちます。循環式給水器も効果的です。
- 食事から水分を摂る: ウェットフードを取り入れたり、ドライフードにお湯をかけたりして、食事と一緒に水分を補給させましょう。
② 猫が快適に使えるトイレ環境を整える
トイレが気に入らないとおしっこを我慢し、膀胱炎の原因になります。猫がいつでも気持ちよく使える環境を提供しましょう。
- トイレの数と場所: 「飼育頭数+1個」が理想です。食事場所から離れた、静かで落ち着ける場所に設置してください。
- サイズと形状: 猫の体の1.5倍以上の大きさがあり、中で楽に方向転換できるサイズを選びましょう。
- 猫砂の選択: 猫の好みに合わせて、お気に入りの砂を見つけてあげましょう。急な変更は避けてください。
- こまめな掃除: 排泄物は1日1〜2回は取り除き、清潔な状態を保ちます。月に1度はトイレ本体を丸洗いしましょう。
愛猫の「いつもと違う」に気づいたら、迷わず動物病院へ
どんなに注意深くケアしていても、猫が病気になる可能性はあります。泌尿器系の病気は静かに進行することも多く、その初期サインに気づけるのは、毎日そばで見守る飼い主さんだけです。
命に関わる危険なサイン:「何度もトイレに行くのに、おしっこが出ていない」
特に、愛猫が何度もトイレに行くのに全くおしっこが出ていない、苦しそうに鳴いている、という場合は、一刻を争う緊急事態です。これは「尿道閉塞」という、命に関わる非常に危険な状態の可能性が高いサインです。
おしっこが排出されないと、体内に毒素が溜まって尿毒症を引き起こし、わずか24〜48時間で死に至ることもあります。「明日になれば治るかも」という自己判断は絶対にせず、時間外や夜間であっても、すぐに救急対応可能な動物病院に連絡してください。
迷ったらまず受診を。獣医師に伝えるべきチェックポイント
尿道閉塞のような緊急事態でなくても、「おしっこの回数が1日1回以下」「色がいつもと違う」といった変化は、何らかの病気のサインかもしれません。猫は不調を隠すのが得意なため、飼い主さんが「何かおかしいな?」と感じた時点で、すでに病気が進行していることもあります。
少しでも不安を感じたら、ためらわずに動物病院を受診しましょう。その際、以下の情報を整理して獣医師に伝えると、よりスムーズな診断につながります。
- いつから症状がありますか?
- おしっこの回数や量はどうですか?
- おしっこの色やニオイに変化はありますか?
- 排尿時の様子はいつもと違いますか?
- 元気や食欲、飲水量はどうですか?
- 他に気になる症状(嘔吐など)はありますか?
可能であれば、スマートフォンでトイレの様子を撮影したり、ペットシーツにしたおしっこを持参したりすると、診断の助けになります。
猫のおしっこの回数が少ないというサインは、飼い主さんだけが気づける重要な警告です。この記事で紹介した疑うべき病気やチェックポイントを参考に、愛猫の小さな変化に気づいたら、専門家である獣医師に相談することが、愛猫の健やかな毎日を守る最善の方法です。

