すべての猫と飼い主のために。私たちが「ネコテック」を始めた理由
「愛猫が留守番中に、寂しがっていないだろうか」 「最近、食欲が落ちた気がするけれど、どこか具合でも悪いのだろうか」
猫と暮らすあなたなら、一度は抱いたことのある不安かもしれません。私も、かつてはその一人でした。すべての始まりは、私のかけがえのない家族、一匹の保護猫「ソラ」との出会いです。
言葉を話せない家族だからこその無力感
ソラと暮らし始めた頃、私は仕事が多忙で、毎日帰宅が遅い生活を送っていました。玄関を開けるといつも出迎えてくれるソラに癒される一方、日中のほとんどを独りで過ごさせてしまうことに、罪悪感と不安を覚えていました。
ある日、帰宅するとソラの様子が明らかにおかしい。ぐったりと床に伏せ、ごはんにも口をつけません。慌てて夜間救急の動物病院に駆け込むと、急性の泌尿器疾患と診断されました。幸い一命はとりとめましたが、獣医師から言われた「もう少し早く変化に気づいていれば、ここまで悪化しなかったかもしれません」という言葉が、私の胸に深く突き刺さりました。
毎日一緒にいるのに、なぜもっと早く気づけなかったのか。言葉を話せない彼の苦しみを見過ごしてしまったのか。後悔と無力感に苛まれながら、私は痛感しました。猫と人が共に暮らす上で、愛情だけでは乗り越えられない壁がある、と。
猫は、野生時代の名残で体調不良を隠す習性があります。弱みを見せることが外敵に狙われるリスクに繋がるためです。そのため、飼い主が「何かおかしい」と気づいたときには、すでに病状が進行しているケースが少なくありません。
留守番中の事故や体調急変への心配、食事量や飲水量、トイレの回数といった日々の細かな変化を正確に把握する難しさ、そして見た目では分かりにくい病気の初期症状をどう察知すればいいのかという課題。これらの悩みは、猫への愛情が深いほど、大きなストレスとなって飼い主の心にのしかかります。
テクノロジーは、猫と人の「言葉」になる
ソラの一件以来、私は「猫の小さなサインを見逃さない方法はないか」と来る日も来る日も考え続け、自身の専門分野であるテクノロジーに可能性を見出しました。
もし、猫の行動を24時間365日データとして記録し、客観的に分析できたら? もし、体重や食事量、排泄パターンといった健康情報を、アプリで簡単に可視化できたら?
それは、猫と人の間にある「言葉の壁」を越える、新しいコミュニケーションツールになるのではないか。テクノロジーは、猫が体で発する微細なサインを翻訳し、私たち飼い主に届けてくれる「言葉」そのものになり得るのではないか。
このひらめきこそが、「ネコテック」誕生の瞬間でした。単に便利なペット用品を作るのではなく、テクノロジーの力で飼い主の不安を解消し、猫が一日でも長く健康で幸せに暮らせる環境を整える。これこそが、私たちのブランドストーリーの核となる「ネコテックが目指す未来。テクノロジーで猫と人の暮らしをもっと豊かに」という理念そのものです。
ソラのような辛い経験をする猫を、そして私のような後悔をする飼い主を、この世界から一人でもなくしたい。その一心で、私たちは歩み始めました。
テクノロジーで「猫のきもち」を翻訳する。ネコテックの挑戦と開発の裏側
「猫の小さなサインを見逃さない」。その一心で始まった私たちの挑戦は、テクノロジーと動物医学、そして猫への深い愛情を掛け合わせ、前例のないプロダクトを生み出すための、地道で困難な道のりでした。私たちが目指したのは、猫の「言葉なき声」をデータとして正確に捉え、飼い主が理解できる形に「翻訳」する技術開発です。

「言葉なき声」をデータで捉える挑戦
まず私たちは、猫の健康状態を雄弁に物語る、日々の行動データに着目しました。数多くの獣医師や猫の行動学専門家へのヒアリングを重ね、特に重要な健康のバロメーターとして、以下の項目を24時間365日、猫にストレスを与えずに計測する技術の開発に取り組みました。
- 体重: 増減が病気のサインとなりやすい、最も基本的な指標。
- 食事・飲水量: 腎臓病や糖尿病など、多くの疾患で変化が見られる。
- 排泄(尿・便)の回数と量、滞在時間: 泌尿器系や消化器系の異常を示す手がかり。
- 活動量と睡眠時間: 元気のなさや痛みのサインを検知する。
これらのデータを正確に捉えるため、高精度の重量センサーや赤外線センサーを組み合わせた独自のハードウェアを開発。猫が普段通りに生活するだけで、すべてのデータが自動的に記録される仕組みを追求しました。
獣医師と二人三脚で築いた「AI診断アルゴリズム」
しかし、データを集めるだけでは意味がありません。そのデータが「何を意味するのか」を解釈できなければ、飼い主の不安は解消されません。ここで鍵となったのが、AI(人工知能)と獣医学的知見の融合でした。
私たちは、開発チームに参画してくださった獣医師たちと共に、数万件の臨床データや論文をAIに学習させました。そして、それぞれの猫の年齢、体重、猫種といった個体差を考慮しながら、「平常時のパターン」をAIが自動で学習するアルゴリズムを構築。これにより、「飲水量が過去3日間の平均より15%増えている」「トイレの滞在時間がいつもより20秒長い」といった、人間の目では気づきにくい「いつもと違う」サインをAIが検知し、アプリを通じて飼い主へアラートを出すことを可能にしたのです。これは単なる記録ではなく、病気の早期発見につながる、まさに「テクノロジーによる翻訳」でした。
猫ファーストが生んだ、幾度もの設計変更
技術的な課題をクリアする一方で、私たちは「猫自身が、製品を受け入れてくれるか」という最大の壁にぶつかりました。どんなに優れたデバイスも、猫が使ってくれなければ意味がありません。
開発初期のプロトタイプは、無骨でセンサーが剥き出しでした。当然、敏感な猫たちは寄り付きません。私たちは「人間にとっての最適」ではなく「猫にとっての最適」を追求するため、設計思想を根本から見直しました。
猫が好む素材の厳選、内部の機械が発する微細な動作音の徹底的な抑制、猫が乗り降りしやすいよう縁の高さをミリ単位で調整する。こうした試行錯誤を、猫カフェや保護猫シェルターの協力を得て、何十回と繰り返しました。技術者のエゴを捨て、ひたすらに猫の視点に立つ。この「猫ファースト」の精神こそが、ネコテックの製品開発の核となっています。
こうした挑戦の末に生まれた製品は、単なるハイテクなペット用品ではなく、猫の健康と幸せを願う私たちの想いと、専門家の知見が結晶した、猫とあなたのための新しいコミュニケーションツールなのです。
「うちの子が、もっと好きになる。」ネコテックがもたらした暮らしの変化と感動の声
私たちの想いと技術が結晶した製品は、実際に猫と暮らす方々の暮らしに、どのような変化をもたらしたのでしょうか。それは、私たちが想像していた以上の、温かい感動と喜びに満ちたものでした。ここでは、ネコテックのテクノロジーが紡いだ、いくつかの家族の物語をご紹介します。

「いつもと違う」に気づけた、命のサイン
3歳のアメリカンショートヘア「レオくん」と暮らす佐藤さん(仮名)は、共働きで日中は家を空けることが多く、レオくんの健康に人一倍気を遣っていました。以前は「もし、見えないところで体調を崩していたら?」という漠然とした不安が常にあったと言います。
ネコテックのスマートトイレを導入して数ヶ月経ったある日、スマートフォンに「レオくんの飲水量が、過去7日間の平均より20%増加しています」という通知が届きました。見た目に変化はなく、食欲も旺盛。しかし、その傾向が3日続いたため、念のため動物病院を受診したところ、初期の慢性腎臓病であることが判明したのです。
獣医師からは「この段階で気づけたのは本当に幸運でした。食事療法で進行を穏やかにできます」と言われました。
「人間の目では絶対に気づけない変化でした。ネコテックがレオの言葉を『翻訳』してくれたおかげで、この子の未来を守ることができたんです。今では、アプリのデータを見ることが、レオとの新しい対話の時間になっています」
テクノロジーは、飼い主の愛情を確かな「気づき」へと変え、かけがえのない家族の時間を守る手助けをしています。
多頭飼いの不安が、個性を知る喜びに
2匹の保護猫「むぎちゃん」と「そらちゃん」と暮らす田中さん(仮名)は、多頭飼いならではの悩みを抱えていました。「ごはんの減りが悪い時やトイレの回数が増えても、どちらの猫のサインか特定できず、体調不良を見逃しているのではないかと、いつもハラハラしていました」
個体識別機能付きのネコテック製品を導入したことで、その悩みは一変。アプリを開けば、むぎちゃんとそらちゃん、それぞれの食事量、飲水量、体重、トイレのデータがグラフで一目瞭然になりました。
データは、体調だけでなく彼女たちの個性まで浮き彫りにしました。几帳面なむぎちゃんと、気分屋のそらちゃん。それぞれの「いつも」が分かるようになったある日、「そらちゃんの食欲が2日間落ちている」ことに気づき、すぐに病院へ。軽度の口内炎が見つかり、悪化する前に治療できました。
田中さんは言います。「不安が解消されただけでなく、それぞれの猫の個性や日々のリズムを、これまで以上に深く理解できるようになりました。データを通して『うちの子』一人ひとりと向き合える。ただ便利なだけじゃない、愛情が深まる体験でした」
これらの声は、ほんの一例です。ネコテックが目指す未来、それはテクノロジーを通じて猫と人のコミュニケーションを深化させ、暮らしをもっと豊かにすること。日々のデータは、健康を守る羅針盤であると同時に、愛猫への理解を深め、「うちの子が、もっと好きになる」きっかけを生み出す、愛の記録なのです。
猫と人が真に共生する社会へ。ネコテックが描くこれからの未来図
一つひとつの家庭で紡がれる「愛の記録」は、ネコテックが最も大切にする宝物です。しかし私たちの挑戦は、個々の暮らしを豊かにするだけに留まりません。無数の記録が集まる時、猫と人が真に共生する社会の実現に向けた、新たな扉が開くと信じています。私たちはテクノロジーを通じて猫と人の関係性を再定義し、社会全体のウェルビーイングを向上させることをミッションとしています。

テクノロジーが拓く「予防医療」の新時代
現在のペット医療は、症状が現れてから病院へ行く「対症療法」が中心です。私たちは、テクノロジーによってこの常識を覆し、「病気にならない暮らし」を目指す「予防医療」を推進します。ネコテック製品から集積される日々の行動データ(匿名化・統計処理済み)は、獣医学の専門家と連携することで、これまで見過ごされてきた病気の超初期サインを発見する手がかりとなります。
- 病気の予兆検知モデルの構築: 特定の猫種や年齢でかかりやすい病気の、ごく初期の行動パターンをAIが学習。飼い主が気づくより早く、アプリを通じて注意を促します。
- 個別化された健康アドバイス: 体重や活動量の推移に基づき、「そろそろ食事内容の見直し時期かもしれません」といった、パーソナライズされた情報を提供します。
- 獣医師とのスムーズな情報連携: 診察時に、日々の正確なデータを獣医師と共有することで、より迅速で的確な診断をサポートします。
日々のデータ管理が、愛猫を病気から「守る」ための最も効果的な手段となる。そんな未来を、私たちはテクノロジーで実現します。
一匹でも多くの命を未来へ。保護猫活動との連携
ネコテックが目指すのは、すべての猫が幸せに暮らせる社会です。その実現には、保護猫問題への取り組みが不可欠です。私たちのテクノロジーは、過酷な環境に置かれがちな保護猫たちの健康管理と、新しい家族との出会いを力強くサポートします。
- シェルターでの活用: 個体識別機能により、どの猫が食事をとれていないか、トイレに異常はないかを正確に把握。感染症の早期発見や、ケアが必要な猫への迅速な対応を可能にします。
- 譲渡後のフォローアップ: 新しい家族のもとへ旅立った後も、里親はアプリを通じて猫の様子を見守ることができます。環境変化によるストレスや体調不良のサインをデータで客観的に把握し、シェルターのスタッフが適切なアドバイスを送ることで、譲渡後のミスマッチを防ぎます。
テクノロジーは、善意や努力だけでは乗り越えられなかった壁を突破する力になります。一匹でも多くの命が温かい家庭に迎えられるよう、私たちは保護猫活動を支援し続けます。
飼い主同士がつながる「知」のプラットフォームへ
愛猫との暮らしにおける悩みや不安は、時に飼い主を孤独にさせます。ネコテックは、製品を通じて得られるデータを活用し、飼い主同士が知見を共有し、支え合えるコミュニティプラットフォームの創出を目指します。もちろん、個々のプライバシーは厳重に保護した上での構想です。
例えば、同じ猫種や年齢、似たような健康課題を持つ飼い主のデータ傾向を匿名で共有し、「この季節は、この猫種の水分摂取量が減る傾向にあります」といった有益な情報を提供。また、ユーザー同士が経験談を交換できる場を設けることで、一人で抱え込みがちな不安を和らげ、集合知によって解決策を見つけ出せます。
個々の「愛の記録」は、あなたと愛猫だけのものではありません。それは、同じように猫を愛する誰かの助けとなり、猫全体の幸せへとつながっていく、社会の貴重な資産なのです。
私たちの物語は、まだ始まったばかりです。「ネコテックが目指す未来。テクノロジーで猫と人の暮らしをもっと豊かに」という私たちのブランドストーリーは、あなたという仲間がいて初めて実現できます。日々の暮らしの中で愛猫を見つめ、そのデータを記録すること。その小さな行動の一つひとつが、猫と人がより深く理解し合い、共に幸せに生きる未来を築くための、確かな一歩となるのです。

